KH250奮闘記的徒然帳

KH250奮闘記的徒然帳 KH250奮闘記的徒然帳

 

ここの所旧車をよく触ることが多い。
開店当時の師匠の手ほどきもあって
数々の車種GS、GSX,CB-T、CBX、KH,SS、H1、H2、GT380、GT750・・
その他・・困りごとがあればどんな車種でも
ことごとく請け勉強の為と採算も考えないで
修理完了だけをかんがえてやっていた時もあった。

それなりに経験も増え特有の構造なども理解し
やってきたつもりだった。

しかし今回は強敵だった。
KH250
’70年後半に作られたバイクで今でもファンは多い。

持ち込まれたバイクは
エンジン不動、ハーネスが途中で無くなっていたり・・と売買説明文には
「走っていました」とあったらしいがこちらからしてみれば「ンな訳ないっ」
状態であったそんな原石のダイヤ状態。

車体と共に点火をポイントからフルトラ式に変えるキットも持ち込まれた。
売買説明文にアドバイスがあったらしいのだ。
新品のボイヤーフルトラキット。

手始めに始動確認の為フルトラキットを取り付け
キャブを分解洗浄しプラグを変えメインハーネスを
新品にし(持ち込み)無事始動。
上まで回るし一旦事なきを得て
スポーク、リム交換やらフォークシール交換やらブレーキOH、
一緒に注文されていたシャーシの作業を終え
さてエンジンに行くかと・・・

相変わらずエンジンはキック数発で
かかったが・・・・

アイドリングしない。
スロットルをあおっている分には元気よく回るが
自力で2000rpm以下は無理。
キャブをどんなに弄ろうが
点火時期をずらそうが
嫌な感じで止まる。
相当いろいろ試したが改善の兆候さえ見られないので
目線を変えて
点火のコントロールユニットの電源電圧を
測ってみた。
結果発電をほとんどしていなく
6000rpmでも12.8V程度
アイドリングに至っては11V、
ライトをつければもう絶望的で
調子が悪くなる回転数とも一致している。
”コイツだ”と・・。
判定の結果ステーターの短絡(レアショート)
が原因の発電不足。
ステーターの巻き直しは何度か外注にだしていて
今度も・・・と安易に考えていたが
今まで(と言っても数年前)お世話になっていた電気屋さんは
全滅していた。
新規で開拓しなければならず探すもヨンフォアなどKHを除く
旧車用のリビルトは多数あるがKHだけはやってくれない。
多数の同業者に「やってくれるとこ知らんかね?」と聞くも
すべて「KHはやってないんですよ・・」と悲しいお返事。
ネットも見たしひとづてにも聞いてメール&TELの努力
もむなしくことごとく断られる。あるにはあったが数か月先の納期。
よっぽど探し方が悪いんだろうとあきらめかけた時に
震災で被災のストライクゾーンにある電気屋さんを発見。
「・・・ダメだろうな・・・」とあきらめ半分で電話を掛けると
「目の前まで津波は来てましたが大丈夫です。復興関係優先で
少しお時間かかってしまってもいいのであれば受け付けできますよ」

ちょっと神に思えてしまって
「義捐金も含んでる思っていくらでもお願いします」と言ってしまったが
請求は普通でした。
増量巻きまで頼んで2週間後にリビルトされて戻ってきました。

で、組んで一件落着のはず・・・だったんですが
発電が正常以上に回復しても
症状自体の解決には全く関係なく
正常な状態に一歩進んだだけで
私的には振り出しに戻る・・。

それだけやってるわけにもいかないので
合間を見てはいろいろ試してみたのですが
らちがあかず腰上も開けることにした。
以前も開けたのですがその時は見た目向上の為の
ブラスト処理の為、またシリンダーにもこれといった傷や
異変も見た目では無くピストンクリアランスを測ることもなく
閉じてましたが疑うところが無くなってきて再度確認しようと
思ったわけです。
で、
クリアランスは規定の平均15倍。
規定クリアランスがまさかの0.016mm
測定結果もまさかの0.25mm
うーん・・完全に見落としだわ・・・。
ピストンバルブ2ストロークにおける
ピストンクリアランスは1次圧縮の要。
”お前か!!!”
しかし良くエンジン掛かってたな・・・。

0.5mmオーバーサイズのピストンキットを調達し
内燃気屋と相談の結果、規定がいくら0.016でも
そのクリアランスじゃ即焼き付きが懸念されるため
標準的な0.05mmでボーリングして
組み付けました。
「これにて一件落着ぅ~~」
の予定だったのですが
・・・変わらず・・・
ジャィンジャィンいってたエンジンも
シュインシュインに変わって
本来のあるべきエンジン内部になったことは
それはそれでいいのですが
私的には
”振り出しにもどる”(ゴール前で)

構成パーツの少なさからもう考えられる原因は
クランクサイドシール・・・。
未体験の症状の為もはやあてずっぽう。
その作業は金額もかさむことから
思いとどまってもう一度見直そうと。

疑いたくないが
新品のあのパーツ。
フルトラキット。
アイツちょっと怪しいぜ!
だが、疑うにも確認のしようが無い。
そもそもエンジンは掛かるし・・。
低回転だけで起こる失火?そーゆーの聞いたことない。
元々独立点火のものが3気筒120度同爆に
なっているため個別の判別もできないし
トラブルシューティング要領もない。

あ、
いつかGT750から取り外した同じ品番のアレが
どっかにあったはず!!ともともと無い記憶をさかのぼって
探しだし配線も加工し直しダメもとで点火コントローラーを
取り替えてみた。

”お前かぁぁぁ!!真犯人はぁぁぁ!!”

お前新品じゃんょぉ・・・・
やめてくれないか・・こーゆーの。

見事に・・・それはそれは静粛なアイドリングを
奏でております・・・。

昨日は
ひたすらキックを踏む自分が夢に出てきて
うなされ、排気ガスで頭痛にさいなまれ
ただ今
若干の現実逃避と共にコレを書いています。
もしかしたらこれは夢で明日店に来たら
また元に戻ってるかもと期待薄ではありますが
私的には

「一件落着ぅぅぅぅ~~~」

と懲りずに思っているわけです。

数か月預かっているこの車両からの
呪縛からも本日から解放されるわけで
今日こそはオネーチャンに囲まれたウハウハな夢に
溺れたいと・・・そんな風に思っております。

一緒に悩んでくれた師匠様、感謝いたします。

日々是勉強。日々是精進。
物事はあきらめてはそこで終わりです。
やり遂げるその志が
人を成長させます。

長文失礼w

 

2011.12

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One Response to KH250奮闘記的徒然帳

  1. 沖縄のガラクタおやじ says:

    素晴らしい探究心、こんな人がいるから進歩していくんだよね。このサイトを見て自分も
    古いバイク手をかけようと思います。これからもがんばりましょう。

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